2009年 読書まとめ その2
後半の22冊です。
それでは皆様良いお年をお迎え下さい。 母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き ★★★☆☆団塊の世代の母と30代の娘との濃密な関係の背景が分かり興味深かった。母の期待に添わずに生きてきた自分は親不孝なのだと思っていたが、結局それで良かったのだと気づき安心した。 読了日:06月11日 著者:信田 さよ子 手紙 (文春文庫) ★★☆☆☆東野氏の小説にのめり込んだことがない。これも然り。この手の題材ならもっと悲惨でズシリとくる小説はごまんとある。この甘さが東野作品の良さなのだろうか。 読了日:06月20日 著者:東野 圭吾 隠蔽捜査 (新潮文庫) ★★★☆☆重すぎず気軽に読める警察小説。警察庁キャリアである竜崎の頑ななまでのエリート意識と正義感が小気味良い。こんな官僚いないでしょ、と思いつつもニヤり。 読了日:06月28日 著者:今野 敏 凶鳥の如き忌むもの (ミステリー・リーグ) ★★★☆☆「鳥人の儀」の真相が凄まじい。事件が起こるまでとトリック看破の推理部分が無駄に長くて飽きたが、ラストの謎解きは衝撃だった。真相を知ってから読んだ方が面白いかも。 読了日:07月16日 著者:三津田 信三 IN ★★★☆☆小説家と小説に閉じ込められた真実と虚構の物語。桐野夏生の内面の発露?主人公タマキは桐野夏生自身?と頭に過った時点で桐野さんの思う壺なのだろう。登場人物たちのしたたかさと自己顕示欲の強さがひたすら息苦しく、窒息しそうな読後感がいかにも桐野作品らしい。 読了日:07月29日 著者:桐野 夏生 訪問者 ★★★☆☆“訪問者を告げるベルが鳴る”一幕開演、演技者たちの熱演、深まる謎、暗転。“訪問者を告げるベルが鳴る”二幕開演、演技者たちの熱演、渦巻く疑念、暗転。ほとんど戯曲と言っても良いような小説で、舞台を観る観客のように楽しめた。 読了日:08月03日 著者:恩田 陸 告白 ★★★★☆想像以上にブラック。復讐から波及する出来事の救いの無さ、愚かさとエゴにまみれた各章の告白には辟易したが、最終章で溜飲が下がった。冷酷無情なラストの一行が秀逸。 読了日:08月07日 著者:湊 かなえ f植物園の巣穴 ★★★★☆人と動物、過去と現在、意識と無意識など様々な物事の境界が曖昧になり渾然一体となる不思議なお話。奇怪な夢物語をふわふわ読んでいたつもりが、意外な展開と結末で驚かされる。今作品も水辺の濃密な空気感と草花の群れ香る描写に癒された。読後は月下香、秋海棠、犬雁足などつい探してしまう自分がいる。 読了日:08月17日 著者:梨木 香歩 似合う服がみつからない! (集英社be文庫) ★★★☆☆キャスター安藤優子さんのファッションエッセイ。いつも素敵な安藤さんも40代に入った頃から体型の変化に悩み、着る洋服に苦心したことを知りなんかホッとした。カチッとしたイメージとは違い、力の抜けた文章で親しみやすく、安藤さんの可愛らしい一面が垣間見える一冊。 読了日:08月27日 著者:安藤 優子 精霊の守り人 (新潮文庫) ★★★☆☆大人も楽しめるファンタジーとの評判どおり、非常に凝った物語で面白かった。ただ大人の読み物としては正直物足りない。異世界ファンタジーはやはり少年少女のものだと思う。風景や戦闘シーンがとても映像的で美しかったので、アニメで全シリーズ観てみたい。 読了日:09月03日 著者:上橋 菜穂子 神々の山嶺〈上〉 (集英社文庫) ★★★☆☆8000m級の山嶺に人生を賭ける男たちの物語。1927年にエベレストの頂を目指したマロニー、日本の天才クライマー羽生、二人の謎を追う深町。それぞれの物語が交差し、飽きることなくぐいぐい引き込まれていく。後半が楽しみ。 読了日:09月16日 著者:夢枕 獏 神々の山嶺〈下〉 (集英社文庫) ★★★★☆読了してみれば、ど真ん中直球の山岳小説だった。佳境に近づくにつれ、羽生の存在感が圧倒的なものとなっていく。仔細なストーリーは最早どうでも良いとさえ思えるようなエベレスト登攀の場面は、まさに神々に祈るような気持ちで読んだ。山を知らない自分でも十分に堪能できた。 読了日:09月22日 著者:夢枕 獏 動機 (文春文庫) ★★★☆☆警察ものの「動機」と前科者が主役の「逆転の夏」はプロットが凝っており結末も意外で面白かった。他の2編は登場する女性があまりにステレオタイプすぎて引いた。もしかして横山氏、女性を描くのが苦手? 読了日:10月01日 著者:横山 秀夫 太陽を曳く馬 上 ★★★☆☆9.11同時多発テロ以後、合田の思考はツインタワーの上階と地表との間で浮遊し続ける。管理職としての対人術も身につけ型どおりのセリフを吐く合田にかつてのギラギラした熱はもう感じられない。理解不能な殺人事件、芸術論、禅家の言葉に終わりのない自問と内省を繰り返す合田の姿がそのまま自分の姿に重なる。何のことやらと思いつつ下巻へ。 読了日:10月13日 著者:高村 薫 太陽を曳く馬 下 ★★★☆☆読み切ったけど完敗。紙面に溢れ出る言葉の洪水がまるでお経のように頭の中に響き続けるが、その膨大な宗教論もオウムの教義も死生観もまったく理解できず。未読のままの前2作も手強そうで読めるのはいつになることやら。とにかく高村女史と自分との距離が果てしなく遠いということだけは分かった。 読了日:10月21日 著者:高村 薫 神様のカルテ ★★★☆☆医者と患者のお涙頂戴ものかと思いきや、人情・友情・人生訓といろんなテイストが利いていてなかなかの良本。淡泊でベタな展開が多く読み応えに欠けるとか、主人公の口調に最後まで慣れないとか言うのは無粋だな、と思わせる何かがある。 読了日:10月26日 著者:夏川 草介 翼はいつまでも (集英社文庫) ★★★☆☆団塊世代の青春。主人公の初恋が瑞々しく爽やかでとても良い。懐かしくも面映ゆい読後感に浸った。 読了日:11月03日 著者:川上 健一 首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ) ★★★★☆非常に凝ったミステリーで面白かった。練られたトリックと二転三転するラストの謎解きが見事。前2作に比べ格段に読み易くなっており、4作目への期待値も高まった。 読了日:11月18日 著者:三津田 信三 殺気! ★★☆☆☆友情物語としてはまあまあだと思うが、サスペンスとしてはすでにどこかで見たことがあるような内容。剣豪深紅姉さんに再会できたのは思いがけず収穫だったが、主人公より脇のキャラが面白いというのは雫井作品の特徴なのかな。 読了日:11月26日 著者:雫井脩介 そうか、もう君はいないのか ★★★☆☆奥様に対する想いをひとつひとつ噛みしめながら、語りかけるように紡いだラブレターのような一冊。娘さんのあとがきによれば奥様は絵に描いたような良妻賢母だったようだが、城山さんにとっては最後まで妖精だったと・・・男ってロマンチック。 読了日:12月01日 著者:城山三郎 死亡推定時刻 (光文社文庫) ★★★☆☆フィクションだが小説というよりドキュメンタリーに近く、冤罪が作られていく過程や冤罪を立証することの難しさがリアルに描かれており興味深い。裁判員制度導入の背景を垣間見た気がする。 読了日:12月05日 著者:朔立木 スイッチ (宝島社文庫 607) (宝島社文庫 607) ★★☆☆☆恋愛小説なのかどうかは微妙だが、頑張って生きている人たちの物語としてはまあまあ良かった。でも読んでいると気分がどんどん落ちて行くので、正直早く読み終わりたかったが意外と長くて困った。 読了日:12月11日 著者:さとう さくら 読書メーター
by waraneko
| 2009-12-30 20:55
| 本
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