北森鴻 「螢坂」やはり北森鴻は短編がいい。 特にこの香菜里屋シリーズは登場人物が魅力的で好きです。 工藤マスターのような、博識で洞察力が鋭くそれでいて嫌味がないという奇跡的な人格の人がいたら、さらに、そういう人の経営するビアバーがあったら、そりゃ常連になっちゃうよなぁと読むたびに思います。 客の持ち込む謎は鮮やかに説き明かしてしまう工藤マスターですが、工藤マスター自身の私生活については過去も現在もほとんど語られず謎だらけなのです。それが今回友人の口から「工藤は“誰か”を待っている」のだと語られるシーンがあり、思わずドキッと心臓が跳ねました。 「螢坂」は「花の下にて春死なむ」「桜宵」に続く香菜里屋シリーズの3作目です。なかなか機会に恵まれず未読のままの「桜宵」も、工藤マスターに関するエピソードが語られているのかもしれません。そう思うといても立ってもいられないので、真剣に読むための算段を講じていこうと決めました。とりあえず図書館に予約です。
by waraneko
| 2006-07-27 21:54
| 本
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