笑う猫には福来たる。

海堂尊 「螺鈿迷宮」

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 「チームバチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」そしてこの「螺鈿迷宮」は舞台が医療現場ということと、探偵役が同じ人物ということで繋がっています。
 しかし作風は3作3様でまるでバラバラ、硬派なミステリーで始まったシリーズも「螺鈿」では思いっきりライトノベル化しています。



 でんでん虫の外観を持つ古く堅牢な病院、子供が恐れる都市伝説、夜な夜な行われる解剖、斜陽な病院に君臨する医師一家、死を見つめる患者たち、そしてそこに迷い込む医大生、どれをとってもライトノベルのノリです。
 作者はきっと江戸川乱歩とか大好きだったんでしょうね。そんな匂いがぷんぷんする小説です。かくゆう私も好きでしたから、なんとなく懐かしさを感じました。まあ正直、ミステリーとしての読み応えはいまひとつなのですが。
 ただ、軽快な文体とキャラクター重視の作風がこの作品ではかなり確立されてきました。ストレートな人物描写とあらゆる場面に挿入される色の描写が有効的に働き、読者の頭の中の映像化を助け、小説を読んでいるというよりもアニメを見ているような感覚にさせられたのにはちょっと驚きました。

 そんな中、やっぱり気になってしまうのが、軽快な文体と重いテーマとの乖離です。
 作者の海堂さんは現役の医師なので、医療に対する高い志をお持ちでしょうし、医療の壁にぶつかって歯がゆい思いもされていることでしょう。なので言いたいことが満載なのは分からなくもないです。しかし、この内容と文体にその“医療の現実”を乗っけても、上滑りしてしまって、物語に馴染みません。終末医療の問題や厚生労働省との確執だなんて、このストーリーにはあまりにもミスマッチなのです。

 どうやらこのシリーズはまだまだ続くようです。できるなら以後の作品は“医療の現実”にとらわれず、軽快な文体とエンタメ性の高いストーリーがマッチした、少年少女向け娯楽小説に仕上げて欲しいですね。ジャンルはもちろんライトノベルで。
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by waraneko | 2007-03-29 21:24 |
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